有責配偶者である夫からの離婚請求について、離婚後の生活に困らないだけの経済的補償を条件に離婚を成立させた事例
【属性】(ご依頼者)女性 40代 職業 会社員
(相手方) 男性 40代 職業 会社員
【未成年の子ども】長男(高校生)
【同居・別居】別居(約4年)
【財産】不動産(自宅建物。土地は依頼者の親が所有)、預貯金、生命保険
【解決までに掛かった期間】約1年
【解決手段】訴訟 期日の回数:9回
【依頼のきっかけ】
依頼者は、不貞行為を行っていた夫から離婚訴訟を提起されたのを機に当職に訴訟代理を委任された。調停は双方本人で行っていたが、訴訟では夫側にも訴訟代理人(弁護士)が付いた。
【弁護士の対応】
① 相手方は長年に渡り不倫関係を継続していたにもかかわらず離婚を求めてきており、本件は有責配偶者からの離婚請求である。
依頼者の希望は、基本的には長男が大学を卒業するまでは離婚に応じたくないが、慰謝料の他に相手方が依頼者と長男の今後の生活が困らないだけの十分な経済的補償をしてくれるのであれば離婚に応じることも考えるというものであった。
これを受け訴訟において当職は、有責配偶者からの離婚請求であるのであるから離婚請求は認められず、同請求は棄却されるべきである、と答弁するとともに、慰謝料は勿論、財産分与等において十分な経済的補償が与えられるのであれば離婚に応じる余地はある、と和解離婚の余地もあることを相手方と裁判官に提案した。
② 相手方は、本件訴訟の弁論準備手続の段階において、不貞行為自体は認めたが、女性と不倫関係に至った当時は既に家庭内別居状態にあり夫婦関係は破綻していたと主張し、その破綻の理由は、依頼者のキツイ性格やその言動等に原因があり、その後の別居期間も考慮すると裁判上の離婚原因「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法第770条1項5号)があるという主張をした。
③ 相手方の「当時既に夫婦関係が破綻していた」という主張に対し、当職は、依頼者が当時自宅新築の際に家族で撮った写真や依頼者家族と相手方の両親で旅行に行った際の写真等を証拠として提出し、相手方の主張は事実に反するものであり夫婦関係に問題がなかった旨反論した。
④ 双方の主張や書面での証拠が出そろった時点で裁判所から和解の勧試があったが、和解には至らず、双方の本人尋問が実施されることとなった。本人尋問においては、相手方に対しその供述自体の矛盾点及び供述と提出済み証拠との矛盾点を突いて相手方の供述に信ぴょう性がないことを明らかにすることができた。
⑤ その結果、裁判官は「当時既に婚姻関係が破綻していた」という夫の主張を認めず、有責配偶者からの離婚請求という前提に立ち当方が提示した内容とほぼ同じ内容で和解が成立した。
【結果】
概要以下の内容で和解が成立した。
・離婚する
・親権者(及び監護養育者)は母である依頼者
・養育費は、子が22歳に達するまで、大学入学金及び授業料等学費は相手方負担をベースに具体的金額は別途協議。
・子の学資に充てる目的で付保していた生命保険の解約返戻金は依頼者が取得し、その他の生命保険及び預貯金は各々名義とおり。
・相手方名義の自宅建物については、依頼者が取得(但し、住宅ローン残債は依頼者が負担)
・和解金520万円(うち300万円が慰謝料)
【解決のポイント】
有責配偶者(不貞)からの離婚請求においては、不倫時に既に婚姻関係が破綻していたという主張がなされるケースがあるが、その場合には具体的事実(家族旅行の写真等)をもって、夫婦関係に問題がなかったことを反論することが有益である。
また、有責配偶者からの離婚請求に応じる場合には、離婚後の生活に困らないだけの経済的補償(特に未成年者の監護養育者となる場合)が与えられない限り離婚には応じないという姿勢で臨むことが肝要である。
お客様アンケート
- 有責配偶者である夫からの離婚請求について、離婚後の生活に困らないだけの経済的補償を条件に離婚を成立させた事例
- 面会交流の調停を申立てて面会交流のやり方や内容について見直すことができた事例
- 激しいDVを行う夫から逃げてきた依頼者を守るため、早期にDV保護命令の申立を行った事例
- DV夫から親権と財産分与を獲得した事例
- 法外な請求を退け、浪費家の妻への財産分与額を2分の1以下で抑えた事例
- 不貞行為者(有責配偶者)からの離婚請求で、相手方・裁判官に精一杯の誠意を見せることで、離婚を成立させた事例
- 面会交流の調停を申し立てられた事案で、第三者機関の立会型の利用を条件として認めさせた事例
- 夫からの長年に及ぶ家庭内暴力(DV)に対して、離婚調停と子の監護者指定を申し立て、ほぼ依頼者の望み通りの結果で解決ができた事例
- 相手方の不貞行為責任を交渉材料とし、離婚条件において実質的な利益を得ることを優先した事例
- 親権者である元妻が死亡したため親権者変更をした事例
- 弁護士に依頼することで、早期に依頼者が納得のできる内容で調停が成立した事例
- 慰謝料請求の示談交渉において、相手方の資力を勘案するなど現実的な対応をした事例
- 不貞行為の慰謝料請求を受けたが、相手方夫婦の状況等事実関係で大きく金額が変わった事例
- 離婚訴訟において、子の福祉に資することを丁寧に説明し、面会交流を認めさせた事例
- 有責配偶者である夫からの離婚請求について、離婚後の生活に困らないだけの経済的補償を条件に離婚を成立させた事例
- 財産分与について、依頼者の寄与度を根気よく主張することで、7:3の割合で調停を成立させた事例
- 早急に子の監護者指定の申立てを行い、親権を獲得し、調停で離婚が成立した事例
- 協議で応じる態度がない相手方に対して、速やかに調停を申し立てることで解決できた事例
- 明確な離婚原因はなかったが、2回の調停で離婚を成立させた事例
- 法律上の離婚原因は乏しかったが、離婚調停に引き出すことにより、離婚を成立させた事例

当事務所では、離婚が成立しさえすればよいというのではなく、依頼された方の離婚後の生活がよりよいものになるように、常にそれを見据えながら離婚案件の処理を進めます。
ご相談される方の話を丁寧に聴いて状況を正確に把握したうえで、離婚原因の問題、お金の問題、子どもの問題、それら問題ごとにご相談される方の置かれた状況を整理し、将来も 見据えたBestな解決策を示します。