相手方の不貞行為責任を交渉材料とし、離婚条件において実質的な利益を得ることを優先した事例
【属性】(ご依頼者)女性 40代 職業 自営
(相手方) 男性 50代 職業 会社員
【未成年の子ども】2人(いずれも大学生)
【同居・別居】別居(3カ月)
【財産】不動産(自宅:相手方5/6,相手方父1/6)3300万円、預貯金約20万円、
株式約30万円相当、生命保険解約返戻金約100万円、退職金約700万円、
住宅ローン残債約1,600万円、その他借入金250万円
【解決までに掛かった期間】約3か月
【解決手段】協議
【依頼のきっかけ】
依頼者は、相手方の不貞行為を知った後離婚を決意し、当職へ相手方との離婚協議を依頼された。
【弁護士の対応】
依頼者の離婚にあたっての希望は、納得できる慰藉料及び財産分与と子らの学費等養育費の請求であった。親権については、子らがいずれも大学生で一人暮らしをしているため、相手方を親権者としても良いとのことであった(親権について争いなし)。
先ず、相手方の不貞行為に関しては、相談時に依頼者が持っている相手方の不貞行為の証拠が自家用車のGPS記録や浮気が疑われる写真等であり、不貞行為を裏付ける証拠としては不十分であったため、探偵の調査を勧めた。依頼者が当職の紹介した調査会社に調査を依頼した(なお、調査会社には、調査日時を特定し依頼したため、費用をかなり抑えることができた)ところ、不貞行為を裏付ける調査結果(写真)を得ることができたので、当職は、相手方に対し、不貞行為に基づく離婚の協議を開始した。
相手方との面談時に調査会社による調査結果を示したところ、相手方は不貞行為については認めたが、夫婦関係の悪化については、妻(依頼者)にも様々な責任があると主張した。
そこで、当職は、慰謝料の具体的金額の話をすることは、議論が膠着すると判断し、慰謝料の金額の話をする前に、財産分与と子らの学費養育費等の協議を先行して進めることとした。また、依頼者も相手方の不貞行為自体の責任を明確化するまでの意思はなく、相手方から得る経済的利益が総額で満足のいくものであれば良しとのことであったので、慰謝料は金額的な調整材料として考えることとした。
【結果】
概要以下の内容で和解が成立した。
・離婚する
・親権者(及び監護養育者)は母である依頼者
・養育費は、子が22歳に達するまで、大学入学金及び授業料等学費は相手方負担をベースに具体的金額 は別途協議。
・子の学資に充てる目的で付保していた生命保険の解約返戻金は依頼者が取得し、その他の生命保険及 び預貯金は各々名義とおり。
・相手方名義の自宅建物については、依頼者が取得(但し、住宅ローン残債は依頼者が負担)
・和解金520万円(うち300万円が慰謝料)
【結果】
次の内容で離婚協議が成立し、公正証書を作成した。
・子らの親権者は相手方とする。
・子らの生活費(家賃等)及び学費(大学授業料等)は、子らが大学を卒業するまで、
全て相手方が支払う。
・財産分与として、相手方が依頼者に1000万円弱を支払う。
・年金分割の按分すべき割合を0.5とする。
なお、慰謝料としての取り決めは設けなかったが、形式的に財産分与を行い養育費等について依頼者も相応の負担をする場合に比し、実質的に慰謝料を300万円以上得る内容とすることができ、依頼者も満足した。
解決のポイント
離婚協議において、不貞行為に基づく慰謝料が問題になる際、不貞行為の事実の証拠を揃えておくことも大切であるが、請求者が不貞事実の明確化には拘らない場合、特に相手方が夫婦関係悪化の原因が請求者側にもあると主張している場合には、相手方の不貞行為責任を交渉材料として使いつつ、財産分与等他の離婚条件において実質的な利益を得ることを優先した方が良い場合がある。
お客様アンケート
- 相手方の不貞行為責任を交渉材料とし、離婚条件において実質的な利益を得ることを優先した事例
- 面会交流の調停を申立てて面会交流のやり方や内容について見直すことができた事例
- 激しいDVを行う夫から逃げてきた依頼者を守るため、早期にDV保護命令の申立を行った事例
- DV夫から親権と財産分与を獲得した事例
- 法外な請求を退け、浪費家の妻への財産分与額を2分の1以下で抑えた事例
- 不貞行為者(有責配偶者)からの離婚請求で、相手方・裁判官に精一杯の誠意を見せることで、離婚を成立させた事例
- 面会交流の調停を申し立てられた事案で、第三者機関の立会型の利用を条件として認めさせた事例
- 夫からの長年に及ぶ家庭内暴力(DV)に対して、離婚調停と子の監護者指定を申し立て、ほぼ依頼者の望み通りの結果で解決ができた事例
- 相手方の不貞行為責任を交渉材料とし、離婚条件において実質的な利益を得ることを優先した事例
- 親権者である元妻が死亡したため親権者変更をした事例
- 弁護士に依頼することで、早期に依頼者が納得のできる内容で調停が成立した事例
- 慰謝料請求の示談交渉において、相手方の資力を勘案するなど現実的な対応をした事例
- 不貞行為の慰謝料請求を受けたが、相手方夫婦の状況等事実関係で大きく金額が変わった事例
- 離婚訴訟において、子の福祉に資することを丁寧に説明し、面会交流を認めさせた事例
- 有責配偶者である夫からの離婚請求について、離婚後の生活に困らないだけの経済的補償を条件に離婚を成立させた事例
- 財産分与について、依頼者の寄与度を根気よく主張することで、7:3の割合で調停を成立させた事例
- 早急に子の監護者指定の申立てを行い、親権を獲得し、調停で離婚が成立した事例
- 協議で応じる態度がない相手方に対して、速やかに調停を申し立てることで解決できた事例
- 明確な離婚原因はなかったが、2回の調停で離婚を成立させた事例
- 法律上の離婚原因は乏しかったが、離婚調停に引き出すことにより、離婚を成立させた事例

当事務所では、離婚が成立しさえすればよいというのではなく、依頼された方の離婚後の生活がよりよいものになるように、常にそれを見据えながら離婚案件の処理を進めます。
ご相談される方の話を丁寧に聴いて状況を正確に把握したうえで、離婚原因の問題、お金の問題、子どもの問題、それら問題ごとにご相談される方の置かれた状況を整理し、将来も 見据えたBestな解決策を示します。