不動産の財産分与
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財産分与の対象となる財産については、預貯金のみならず、不動産についても同様です。
住宅ローンの取り扱いについて
特に、離婚に際しては、住宅ローンの返済をどのように行っていくのかということが、大きなポイントとなります。
大きくは、次の4つの方法があります。
①売却して現金化し、経費を差し引いた額を分ける。
②片方が所有し、もう片方に評価額に相当する現金を渡す(分割払いも可)。
③片方が所有し、もう片方は使用権(賃借権)を取得し、使用料を支払っていく。
④分与した割合に応じて共有する。
③、④については、特に③については不動産を将来売却しようと考えた場合に互いの合意が必要となり売却が困難になったり、将来新たな紛争となる可能性を抱えることになるので、よく考えて決める必要があります。
以下、①を選択する場合について説明します。
不動産を売却して住宅ローンの返済に充てる場合、売却代金が残っている住宅ローンを上回っていれば、余りの代金を双方で分配します。逆に、住宅ローンの方が上回る場合には、通常の借金がある場合と同様に、不動産の名義人が負担をしたり、他の財産分与と相殺をしたりして、解決を目指します。
また、不動産を売却しない場合には、当然ですが、一方が住宅ローンの支払いを続けなくてはなりません。住宅ローンの名義人がそのまま不動産を取得する場合は特に問題はありませんが、名義人でない側が不動産を取得する場合には、住宅ローンの返済をする者と実際に建物を取得する者とが変わってきてしまいますので、住宅ローンの債務者の変更をすることが望ましいです。
ただし、住宅ローンの債務者の変更については、貸主である銀行などの承諾が必要で、本人に十分な収入があったり、新たに保証人を立てたり、親族の援助を受けたりしてある程度の額を一括返済する必要があります。どうしても借主でない側が不動産を取得したいという場合には、たとえば住宅ローンの名義はそのままに、実際の支払いは不動産取得者が行うといった方法で対応することになります。
不動産の財産分与と税金
財産分与として、不動産を受け取った場合は、通常、不動産取得税は課税されません。但し、所有権移転登記手続を行う場合には、登録免許税を収める必要があります。通常は、所有権移転を受ける側が登録免許税を負担することが一般的ですが、これを分与する側に負担させたい場合は、当事者間で取り決めておく必要があります。
他方で、不動産を分与した側には、譲渡所得税が課税される場合があります。不動産の購入時よりも譲渡時の不動産の価値が上回っている場合には注意が必要です。なお、居住用の不動産を財産分与する場合には、譲渡所得の特別控除(3000万円)が適用されます。
解決事例
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