養育費に加え大学の学費を加算できた事例
依頼者
【属性】(ご依頼者)女性 40代後半 職業 会社員
(相手方) 男性 50代後半 職業 会社員
【未成年の子ども】有
【同居・別居】相談時同居、のち別居
【解決までに掛かった期間】1年7カ月
【解決手段】協議、調停(期日の回数:10回)
【相手方の弁護士の有無】有
【依頼のきっかけ】
依頼者は、夫が風俗通いや無断の海外旅行をやめず家庭を顧みないため、離婚を決し、別居の計画を立てたうえで、当事務所にご相談に来られ、相手方との離婚協議代理を当職にご依頼された。
【弁護士の対応及び結果】
1.依頼者が長女(公立高校3年生)を連れて別居した後、当職から相手方に、離婚申入れと婚姻費用を請求する旨の受任通知を送った。その後、相手方が依頼した弁護士から受任通知が届き、離婚協議を開始した。しかし、相手方弁護士から財産資料を送る等の連絡があったにも関わらず、一向に届くこともなく、また婚姻費用についても調整中であったにも関わらず、相手方弁護士が一方的に離婚調停を申し立て調停が開始された。
2.当方は、速やかに婚姻費用分担請求調停を申立て、婚姻費用については、月額16万円、未払い婚姻費用30万円とする内容で調停が成立した。
3.離婚条件については、養育費と財産分与が争点となった。当方は、次のとおり主張した。
①養育費については、長女が学受験を控えている最中であったが、希望の大学に合格したことから、養育費の支払い終期を 長女が満22歳になってから最初の3月まで(留年なしで卒業する年月)までとし、加えて大学の学費のうち相手方の負担分(双方の基礎年収比率で按分した額)を求める請求を行った。
②財産分与については、相手方から特有財産の主張(親からの贈与等)がなされたが、当方はそれを争った。
上記争点について期日を重ねたが、双方折り合いがつかなかったところ、双方とも裁判官の判断に委ねることで合意に至ったことから、調停に代わる審判として、裁判所の判断が示された。同審判内容は、ほぼ当方の主張とおりに、①養育費については、月額8万7千円を長女が満22歳になってから最初の3月までとし、②財産分与については、相手方の特有財産の主張は認められず、970万円余を相手方が依頼者に支払うこととなった。
【解決のポイント】
子の大学進学が確定している場合、養育費の終期は、留年なしで卒業する年の3月までとされることが多い。また、大学の学費についても、養育費に折込済みである標準的な学費と大学の学費との差額について、双方の基礎年収比率により按分した金額を相手方に負担させることも可能である。なお、財産分与において特有財産(親からの相続や贈与によって取得した財産等財産分与の対象から外される財産)を主張する場合には、一定の主張・立証が要求され、その主張・立証が不十分であれば、その主張は一般的に認められない。
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