相手方の特有財産の主張を認めず、当方主張とおりの財産分与金が認められた事例)(相手方に対する子の大学学費の分担請求が認められた事例)
【属性】(ご依頼者) 女性 40代後半 職業 会社員
(相手方) 男性 50代後半 職業 会社員
【未成年の子ども】1人(18歳)
【同居・別居】別居中
【財産】自宅不動産(夫名義)
【解決までに掛かった期間】約2年
【解決手段】協議・調停(期日の回数:10回)
【相手方の弁護士の有無】有
依頼のきっかけ
依頼者は、相手方と双方離婚することについては一致していたが、財産分与、子の大学学費負担について意見が対立していたため、当方に離婚協議の代理を依頼された。なお、相手方には弁護士が付いている。
弁護士の対応
1.依頼者は、別居後、相手方から十分な婚姻費用の支払いを受けていなかったため、当方は相手方に対し、婚姻費用分担の請求を行うとともに、子の養育費及び学費の負担、財産分与といった離婚条件について協議を行った。しかしながら、相手方から当方依頼者の意に適う条件を引き出すことはできず、協議は不調に終わった。
2.協議が不調に終わった後、相手方から離婚調停が申立てられ、当方からは、婚姻費用分担請求調停を申立てた。
3.婚姻費用分担請求調停については、ほぼ当方主張とおりの金額(月額16万円及び未払い婚姻費用)で調停が成立したが、離婚調停については、財産分与、子の大学学費負担の是非について、意見が対立し、期日を重ねることになった。
4.財産分与については、当初相手方が開示に消極的であった財産の開示請求から始まり、どうにか相手方から対象財産の開示を引き出した後は、相手方が主張する特有財産の存否が主な争点となった。相手方は、預金・株式等の金融資産について、原資が親からの贈与金であり特有財産(財産分与の対象とならない)であると主張したが、依頼者本人は相手方と同居中にそのような話を一切聞いていない。そこで、当方は、相手方の特有財産の主張について争い、相手方の主張を裏付ける証拠も合理的な事実経緯の説明もできていないと反論した。
5.子の大学進学に伴う学費の負担については、相手方は終始消極的意見であったが、当方は、双方とも大学卒業の学歴であること、同居中の父子の関わりについてのエピソード及び在籍する高校が有数の進学校であること、子の成績等から、子が大学に進学することを希望していたことを相手方は十分承知していたはずであり、父親として子の大学進学に係る費用について負担すべき合理的理由がある旨主張した。
結果
10回の期日を重ねたところで、裁判官から、これまでの双方の主張・立証及び調停委員の意見等を前提に「調停に代わる審判」を行いたい旨申出があり、双方とも裁判所が「調停に代わる審判」をなすことに合意した。
調停に代わる審判では、相手方の特有財産の主張は採用されず、ほぼ当方の主張金額とおりの財産分与金(1000万円弱)が認められた。また、子の大学学費負担についても、当方主張とおりに双方年収比の割合による相手方負担額が認められた。勿論、養育費も大学卒業時まで認める内容となっている。同調停に代わる審判は、双方ともに異議申立てを行わず確定した。
解決のポイント
財産分与の争点として、特有財産の主張がなされることは少なくない。特有財産の主張が認められるためには、当該財産が相続による取得であれば、相続による取得であることを証明できる証拠、生前贈与であれば、同じくその証拠乃至それを推認できる事実や関連証拠の提出が不可欠である。そのような証拠等が提出されず、あるいは証拠がなくとの事実を裏付ける関連証拠や合理的な事実経緯の説明もなされない場合には、先ずその特有財産の主張は認められないと考えて間違いない。
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ご相談される方の話を丁寧に聴いて状況を正確に把握したうえで、離婚原因の問題、お金の問題、子どもの問題、それら問題ごとにご相談される方の置かれた状況を整理し、将来も 見据えたBestな解決策を示します。