法律上の離婚原因は乏しかったが、離婚調停に引き出すことにより、離婚を成立させた事例
【属性】(ご依頼者) 女性 40代半ば 職業 会社員
(相手方) 男性 50代前半 職業 自営
【未成年の子ども】長男1人(19歳)大学生
【同居・別居】同居中
【財産】自宅不動産 残債:約900万円
【解決までに掛かった期間】約4か月
【解決手段】調停 期日の回数:2回
依頼のきっかけ
依頼者が相手方との離婚を決意した理由は、①相手方の度重なる転職、②相手方の無断借金と滞納、年金・健康保険・住宅ローンの滞納及びそれらに伴う生活費の不払い、④子の養育への相手方の非協力的態度、④相手方の無責任かつ責任転嫁の言動等である。
依頼者は、子どものために離婚することを長年我慢してきたが、子どもの理解を得ることができたため、依頼者が相手方に離婚を切り出した。しかし、相手方は、のらりくらりと話をはぐらかし、終いには「仕事がうまく行かなくなった場合は保障しろ、決定的な離婚理由はないのだから、離婚してほしいのならそれなりの見返りを寄越せ」等と開き直り、離婚に応じようとはしなかった。
依頼者は、当事務所に来所する前に、他の法律事務所にもいくつか相談に行っていたが、いずれも離婚原因が薄く、相手方が離婚に応じない場合、離婚は難しいという意見を得ていた。
弁護士の対応
依頼者の話を聞く限り、確かに、依頼者があげる離婚理由は、法律上の離婚原因(婚姻を継続しがたい重大な事由)として認められるまでの事実としては乏しいことは否めなかった。
しかしながら、依頼者の話を良く聞くと、相手方は「面倒なことが嫌い。面倒なことは後回しにして物事から逃げる。不都合な事は人のせいにする。」性格であり、また相手方の実家に戻ってもよいという事を言ったことがあるということであった。そして何より依頼者の離婚の決意と今後の人生を充実したものにしたいという気持ちが強かった。
そこで、以下の理由から、離婚及び婚姻費用分担請求の調停を申立てることとした。
・このような性格の持ち主には、半ば強制的に裁判所という公の場に引き出し話合いを進めることが有益な場合があり、単なる話合いでは離婚に応じない者も調停では離婚に応じる場合があること。
・また仮に相手方が調停においても離婚に合意しなかった場合には、離婚原因の弱さに鑑み現時点での提訴は見送らざるを得ないが、その場合でも、別居を開始すれば、相手方は婚姻費用を負担せざる得ず、婚姻費用の支払いが負担となりいずれ離婚に応じることが考えられること。
・また、別居を開始し数年後に改めて離婚調停を申立てそこでも相手方が離婚に応じない場合は提訴するという手段があること。
結果
最終的に2回の調停期日で離婚が成立。養育費だけでなく、解決金の他、依頼者が希望していた自宅不動産の相手方共有持ち分を財産分与として譲り受けることができた(ローン残債の支払いは依頼者が行う)。
解決のポイント
法律上の離婚原因は明確に認めることができない状況であったとしても、相手方の性格や置かれている状況によっては、裁判所という公の場での話し合い(調停)に引き出すことにより離婚の合意を得ることができる場合の一例である。
お客様の声
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