マザコン夫の特徴
「マザコン」と「母親を大切にすること」とは、似ているようで全く異なるものです。
マザコンとは、母親が息子を支配している状態で、長年の間に母親と息子が互いに依存している関係が確立している状態の人をいいます。
マザコン夫とその母親は、そのような状態にあることを全く意識しておらず、当然のことと感じています。
「マザコン夫」と「親孝行の夫」との違いを一言でいうと、「自立心の欠如」です。「マザコン夫」は、母親との相互依存関係がその精神構造の当然の一部となっており、結婚により妻とともに新たに独立した家庭を設けたという意識が欠如しています。
したがって、「マザコン夫」は、
①大切なことは自分自身で決定することはなく、母親に決定してもらう
②家庭に関わることであっても、パートナーである妻の意見よりも、母親の意見を無条件に優先する
③母親自慢が多く、物事の優劣の判断は母親が基準となる
といった特徴を持っています。
より具体的な「マザコン夫」の典型例としては、次のようなものがあげられます。
マザコン夫の典型例
・姑の言いなりで、どんなことでも姑に相談する
・全て姑に筒抜け、どうでもいい日常的な夫婦の会話、家族内のやりとりまで細かく姑が知っている
・母親から小遣いをもらっている、あるいは簡単に母親に経済的援助を求める
・姑に妻がいじめられても、何も言ってくれない
・妻が姑のことについて少しでも不満を言うと、異常に怒る
・姑が無遠慮に妻の家事や育児に口を出してきても、知らぬふりをする。それどころか、姑の言うことが当然だとして、姑と一緒になって妻を責める。
・母親から手取り足取り甘やかされて育ったため、妻が家事や育児をすることが当然だと思い、家事や育児を手伝おうとしない。
このようなマザコン夫と結婚してしまった妻としては、「お母さんも大切だけど、結婚したのだから私と子どもとの生活を一番に考えてほしい」等と、夫を説得するのが普通でしょう。そして、夫が態度を改めてくれるのを期待すると思います。
しかし、残念ながら、マザコン夫を変えることはほぼ不可能です。マザコン夫は、生まれてからこのかた、大人になってもずっと母親に甘やかされて生活してきており、母親を中心とした生活が家庭であることから、母親の存在は絶対であって、母親との相互依存関係がその精神構造の当然の一部となっているからです。
したがって、離婚を選択しないのであれば、ご自身が変わるしかありません。マザコン夫を受け入れるという選択です。
それができない、結婚生活や育児にも支障が出ていて我慢できないという場合には、離婚という選択もやむを得ないと言えます。特に、このようなマザコン夫の言動とともに、姑の過剰な口出しまで続くとなると、円満な結婚生活を維持していくことは難しいでしょう。
マザコン夫は離婚の際も注意が必要です。
やむなく離婚を決意した場合であっても、マザコン夫は、自分で離婚するかしないかの決断ができず、また、離婚するにしてもその条件をどのようにするか母親(姑)抜きでは自分で決められず、話し合いが進まないということもあります。
また、ことあるごとに夫の母親(姑)が口を出してきて、離婚の話し合いが進まないということもあります。この場合には、母親(姑)の介入をいかに排除して夫との話し合いを進めるかが重要となり、調停や裁判などの家庭裁判所の手続を利用することも検討する必要があります。当然ですが、調停や裁判手続きに夫の母親(姑)が出席することはできません。
マザコンは離婚原因になるのか
夫が離婚に同意しない場合、法律で定められた離婚原因(民法770条1項)が必要となりますが、「マザコン」それ自体は、離婚原因としては規定されていません。
ですから、単に「夫がマザコンだから」というだけでは直ちに離婚原因とはなり得ません。
ただし、マザコン夫との離婚を考える場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すれば、離婚事由となり、離婚することができます。
上述したような姑の過剰な干渉や夫がマザコン言動(妻の意見を聞かずに姑の意見のみを偏重する態度等)を改めないことにより、夫婦関係が破たんしていると評価できれば、マザコンが離婚原因として認められることになります。
したがって、マザコン夫との離婚を考えている方は、姑から過剰な干渉を受けた出来事、嫌がらせの事実や、夫のマザコン言動と態度を改めるよう何度も頼んだのに変わりがないことを日記に記録しておくなり、離婚原因としての証拠固めをしておくことが必要となります。
マザコン夫との離婚を考えているという方、離婚の話し合いをしているが全然進まないという方は、一人で悩まずに、是非一度、当事務所にご相談ください。当事務所は、マザコン夫との離婚問題の解決を、あなたと一緒に考え、具体案を提案させていただきます。