【婚姻費用】双方が監護養育する場合
質問
別居中ですが、長男は夫と同居し、長女は妻と同居しています。妻が夫に婚姻費用を請求する場合、どのように算出すればよいですか?
回答
「算定表」は子らを夫婦のどちらか一方だけと同居している(監護している)場合を想定しており、夫婦双方とも子らのいずれかと同居している場合には使用することができません。このような場合には、算定表のもととなっている標準算定方式により算定することになります。
※基礎収入、生活費指数については、「婚姻費用の算定方法」をご参照下さい。
先ず、夫と妻の各々の基礎収入を計算したうえで、権利者である妻と妻が監護する子に割り振られるべき婚姻費用を算出する必要があります。
(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)×(権利者と権利者が監護する子の生活費指数)/ (義務者と義務者が監護する子の生活費指数+権利者と権利者が監護する子の生活費指数) |
次に、上記で算出した権利者である妻と妻が監護する子に割り振られるべき婚姻費用額から、権利者の基礎収入を差し引いた金額が、義務者となる夫が妻に支払うべき婚姻費用額となります。
(権利者と権利者が監護する子に割り振られるべき婚姻費用額-権利者の基礎収入)÷12(月額) |
【具体例】
夫(義務者):会社員 年収800万円、長男(16歳)と同居(監護)
妻(権利者):パート 年収120万円、長女(12歳)と同居(監護)
<STEP1>夫婦それぞれの基礎収入を計算します(=総収入×基礎収入割合)
夫の基礎収入=800万円×40%=320万円
妻の基礎収入=120万円×46%=55万2000円
<STEP2>妻と妻が監護(同居)する子に割り振られるべき婚姻費用を計算します。
(夫の基礎収入+妻の基礎収入)×(妻と妻が監護する子の生活費指数)/(夫と夫が監護する子の生活費指数+妻と妻が監護する子の生活費指数)
=(320万円+55万2000円)×(100+62)/(100+85+100+62)
=175万1654円≒175万2000円
<STEP3>婚姻費用月額を計算します。
(STEP2で算出した金額-妻の基礎収入)÷12
=(175万2000円-55万2000円)÷12
=10万円
以上のとおり、この例で夫が妻に支払うべき婚姻費用額は月額10万円となります。
- 【婚姻費用】双方が監護養育する場合
- 【婚姻費用】双方が監護養育する場合
- 自営業者の場合、婚姻費用算定の基礎となる総収入はどのように認定するでしょうか?
- 自営業者の場合、養育費算定の基礎となる総収入はどのように認定するでしょうか?
- 【婚姻費用】給与収入と事業収入がある場合
- 【養育費】給与収入と事業収入がある場合
- 身体的障害または知的障害を有する子どもの養育費を算定するにあたり、算定表に基づく養育費に医療費や教育費を加算することができますか。
- Q.婚姻費用は、どのようにして算定するのですか?
- Q.義務者が無収入となった場合、婚姻費用の支払いはどうなりますか?
- Q.義務者に債務がある場合、婚姻費用の支払いはどうなりますか?
- Q.財産の持出しがある場合、婚姻費用の支払いはどうなりますか?
- 「住宅ローンの支払いは、婚姻費用から控除される?算定表について弁護士が解説!
- お子さんが私立学校に通っている方へ~婚姻費用・養育費について解説~
- Q.養育費はどのようにして算定するのですか?
- Q.夫に前妻との子がいる場合の養育費算定方法はどうなりますか?
- 離婚後の年金分割でもらえる金額はいくら?【弁護士が解説】
- Q.離婚後も以前の氏のままでいたいのですが、どうすればよいでしょうか?
- Q.離婚後の氏の変更手続きはどのようにすれば良いでしょうか?
- Q.調停で離婚が成立しましたが、役所に届出を行う必要があるのでしょうか?
- Q.財産分与で実家からの住宅資金援助はどう考える?
- Q.離婚の調停とは、どのように行われるのでしょうか?
- 離婚後に相手の住所を知る権利はあるのか?取得方法について弁護士が解説」
- Q.養育費をもらっていても、生活保護は認められますか?
- Q.離婚から年月を経た場合、その期間ならびにこれからの養育費を請求できますか?
- Q.再婚した場合、元夫の養育費の支払い義務はなくなるのでしょうか?
- Q.ひとり親の支援制度には、どのようなものがありますでしょうか?
当事務所では、離婚が成立しさえすればよいというのではなく、依頼された方の離婚後の生活がよりよいものになるように、常にそれを見据えながら離婚案件の処理を進めます。
ご相談される方の話を丁寧に聴いて状況を正確に把握したうえで、離婚原因の問題、お金の問題、子どもの問題、それら問題ごとにご相談される方の置かれた状況を整理し、将来も 見据えたBestな解決策を示します。